ラグビーの試合前、ニュージーランド代表オールブラックスだけがハカを行い、自分たちの士気を高めて相手チームを威嚇するなんて「ずるい」って意見をたまに聞きます。
このハカに対しては、以前から賛否両論があります。
一方では、ハカはラグビーの魅力の一つであり、文化的な挑戦として尊重すべきだという意見があります。他方では、ハカはニュージーランドに有利な不公平な行為であり、やりすぎで価値が薄れているという批判があります。
この記事では、ハカに対する様々な見解や事例を紹介します。
ラグビーのハカはなぜずるいって言われているのか?
まず大前提として、ハカはニュージーランドだけが行っているわけではありません。
実は、太平洋諸島の国々もそれぞれ独自のハカを持っています。
例えば、フィジーは「シンビ」、サモアは「シヴァタウ」、トンガは「シピタウ」という名前のハカを行います。
これらの国々は、ニュージーランドと同じくマオリ系の民族であり、古くから戦闘的な文化を持っています。したがって、ハカはニュージーランドだけの特権ではなく、太平洋諸島の共通の伝統と言えます。
次に、ハカに対抗する方法について見てみましょう。ハカを見せられた対戦相手はどうすればいいのでしょうか?実際には、様々な対応があります。例えば、以下のようなものが挙げられます。
ハカを無視する
オーストラリア代表のデイビッド・キャンピージは、1991年大会準決勝でハカ中に自陣でボールを蹴って遊んでいました。
ハカに近づく
アイルランド代表やフランス代表は、1990年代から2000年代にかけて何度もハカに接近しました。
ハカに歌声で応える
アイルランドサポーターは2019年大会準々決勝でハカ中に大合唱しました。
ハカにV字陣形で対抗する
イングランド代表は2019年大会準決勝でV字陣形をとってハカを包囲しました。
ハカをずるいと思ったのかは本人にしかわからない
上記で紹介したハカへの対抗策は、「お前たちだけずるい」と思って行動したのかはわかりません。
非礼なのか、それとも当然なのか、という議論があります。ハカの支持者は、ハカはニュージーランドの文化であり、尊重されるべきだと主張します。
ハカの批判者は、ハカはニュージーランドに有利な不公平な行為であり、やりすぎで価値が薄れていると指摘します。
しかし、どちらの立場にも一概に正しいとは言えません。ハカは、戦いの前に自分たちの気持ちを高める儀式であり、それに対して対戦相手も何らかの反応を示すのは自然なことです。
ハカを無視することも、ハカに対抗することも、それぞれに意味があると言えます。
そもそもラグビーのハカの起源や意味を知りたい!!
さて、ハカに対する賛否両論の中で、ハカの起源や意味について知っておくべきことがあります。
ハカは、ニュージーランドの先住民マオリの伝統的な舞踊であり、様々な場面で用いられます。
例えば、歓迎や祝賀、追悼や悼む、戦闘や挑戦などです。ハカは、言葉や動作や表情で自分たちの感情や思いを表現する方法です。ハカには多くの種類があり、それぞれに異なる歴史や背景があります。
ラグビーの試合前に披露されるハカは、下記のとおり主に2種類あります。
- 「カ・マテ」(Ka Mate)
- 「カパ・オ・パンゴ」(Kapa o Pango)
の2種類です。
「カ・マテ」は、1820年代にマオリの族長テ・ラウパラハが作ったとされるハカで、「死ぬか生きるか」という意味があります。
「カパ・オ・パンゴ」は、2005年にオールブラックスが初めて披露したハカで、「黒いチーム」という意味があります。
このハカは、ニュージーランドの文化や自然や人々を称えるものであり、最後に喉を切る仕草をすることで相手に勝利を宣言するものです。
ハカはラグビーだけじゃないの!?
ハカは、ニュージーランドの文化的なアイデンティティの一部であり、オールブラックスはそれを誇りに思っています。
しかし、ハカはラグビーだけのものではありません。
実際には、他のスポーツでもニュージーランド代表はハカを行います。例えば、サッカーやバスケットボールやクリケットなどです。
また、他国のスポーツ選手もハカを敬意や感謝や祝福として行うことがあります。例えば、フランスのサッカー選手ポール・ポグバは2018年のワールドカップ優勝後にハカを披露しました。
ハカがラグビー界に与える影響
ハカがラグビーに与える影響について考えてみましょう。ハカはラグビーの魅力の一つであり、多くのファンやメディアが注目しています。
ハカはラグビーの興行的な価値を高める要素でもあります。しかし、ハカが試合の結果に直接的な影響を与えるという証拠は当然ですが全くありません。
実際には、ハカに対抗したチームがニュージーランドに勝ったり負けたりしています。また、ハカを行わないチームもニュージーランドに勝ったり負けたりしています。
つまり、ハカは試合前のパフォーマンスであり、試合中のパフォーマンスとは別物であると言えます。
まとめ:ラグビーのハカは「ずるい」とは言えない
最後にハカについてまとめます。
・ハカは、ニュージーランド代表オールブラックスが試合前に披露する先住民マオリの伝統舞踊である。
・ハカは、戦いの前に自分たちの士気を高めるとともに、相手を威嚇するために行われるパフォーマンスである。
・ハカに対しては、賛否両論があり、ハカはラグビーの魅力の一つであり、文化的な挑戦として尊重すべきだという意見と、ハカはニュージーランドに有利な不公平な行為であり、やりすぎで価値が薄れているという批判がある。
・ハカに対抗する方法には、様々なものがあり、ハカを無視することも、ハカに近づくことも、ハカに歌声で応えることも、ハカにV字陣形で対抗することもある。
・ハカはニュージーランドだけが行っているわけではなく、太平洋諸島の国々もそれぞれ独自のハカを持っている。
・また、他のスポーツでもニュージーランド代表はハカを行うことがある。さらに、他国のスポーツ選手もハカを敬意や感謝や祝福として行うことがある。
・ハカはラグビーの興行的な価値を高める要素でもあるが、試合の結果に直接的な影響を与えるという証拠はない。ハカは試合前のパフォーマンスであり、試合中のパフォーマンスとは別物である。
見ようによっては、ハカはずるいと思えてしまいますが、これからは各国代表でハカに続くパフォーマンスをするチームが出てくるかもしれませんね。